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【映画レビュー】プーと大人になった僕

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筆者:ガスマスク(@GVSMASK)

ネタバレ無し

2018年12月19日にDVDの販売開始が迫った「プーと大人になった僕」
往年のディズニー名作映画のその後を描いた作品として大きな注目を浴び、予想以上に予想外の展開を見せたことでストーリーも大きな評価を得た。
プーさんの哲学的な名言の数々をバックに進む物語は、生きる意味や人生の楽しみといった人類の普遍的なテーマをハードに描いている。

2018年公開の映画の中でも特に面白かった本作を紹介したい。

INDEX

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あらすじ

親友のくまのプーや仲間たちと別れてから長い年月が経ち、大人になったクリストファー・ロビンは、仕事に追われ、会社から託された難題と一緒に時間を過ごせない家族との問題に悩んでいた。
そんな彼の前に、“100エーカーの森”を飛び出したプーが突然現れる。彼が忘れてしまった本当に「大切なモノ」を届けるために…。
名優ユアン・マクレガーを迎え、『美女と野獣』のディズニーが「くまのプーさん」を実写映画化した感動の物語。

公式ホームページより引用
作品情報|プーと大人になった僕|ディズニー公式

監督

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本作を監督したのはドイツ出身の「マーク・フォースター」

代表作は「ジェラルド・バトラー」主演の「マシンガン・プリーチャー」、「ワールドウォーZ」など様々。
ウガンダ内戦を舞台に神の抵抗軍に拉致された少年兵を描いた監督が今作では100エーカーの森を去ったクリストファーロビンを描く。

登場人物

クリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)

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少年時代は100エーカーの森でプーたちと過ごし、「君たちのことは絶対に忘れない」という約束をして森を去る。
その後は厳しい躾を行う寄宿学校に入学して将来のために勉強することを叩き込まれ、卒業後は第二次世界大戦に出兵する過酷な経験をする。

結婚して家庭を持ったことで、家族の将来のために今を犠牲にして仕事に打ち込むという考えがより強固なものとなる。

プー(ジム・カミングス)

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かつて100エーカーの森でクリストファー・ロビンと過ごす。

クリストファー・ロビンが忘れてしまった「いまを楽しむ」という考えを素朴な言葉で伝える森の哲人。

イヴリン・ロビン(ヘイリー・アトウェル)

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クリストファー・ロビンの妻。

家族との時間を大事にしてほしいと思っている。

マデリン・ロビン(ブロンテ・カーマイケル)

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クリストファー・ロビンの娘。

将来のために親元を離れて寄宿学校に入学することが決まっているが、本当は家族と一緒に暮らしたいと考えている。

初めて見た感想

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観るとプーになると噂の実写版プーさん。将来の為だけではなく今そこにある現実を楽しむことが大事という人生哲学をプーさんが背中で語る。
日本人的にはありふれたテーマなので万人にオススメできる内容。
ディズニーの世界観を自然に実写と融合させたCGが素晴らしく、104分という長い上映時間があっという間にに過ぎ去った。少年時代のような映画。

100エーカーの森のアリストテレス「プーさん」

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クリストファー・ロビンは将来のために家族との旅行を断念してまで仕事に打ち込む。
そんな彼をみてプーさんは今を楽しむことの素晴らしさを素朴な言葉と背中で語る。

「将来の目的や計画をいったん忘れ、今この瞬間にやりたいこと、やるべきことに熱中する」そんなプーさんの思想からある哲学者を思い出さないだろうか。
そう、万学の祖「アリストテレス」である。

アリストテレスは将来の目的を優先した行為を「キネーシス的行為」、将来の目的を度外視し今この瞬間に集中する行為を「エネルゲイア的行為」と呼んだ。
そして、「エネルゲイア的行為」つまり「いま自分にとって楽しく充実している状態」そのものが「すでに成し遂げた状態」であると言う。
つまり、アリストテレスの考えでは、目的を達成することを優先するよりも、今この瞬間に集中することのほうが良い結果を導くということなのである。

例えば、スポーツ選手が試合そのものを楽しむことで結果的に優勝すること、受験生が問題を解くこと自体を楽しむことで結果的に成績が上がることなどだ。

そして本作のラストでも、家族を大事にした結果のひらめきが経営状態の危ういウィンズロウ社を救う契機となるのだ。

悩める現代人に人生の指針を示す、そんなプーさんは100エーカーの森に住む哲学者といえるのではないだろうか。

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