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【映画レビュー】ウィンド・リバー

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ネタバレ無し

「ウィンド・リバー」は同名のインディアン保留地を舞台にしたスリラー映画。
インディアン保留地でネイティブアメリカンの貧困や犯罪、強制移住の結果などのアメリカの闇を描いた作品。

INDEX

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あらすじ

雪深いアメリカの、ネイティブアメリカンが追いやられた土地“ウインド・リバー”で見つかった少女の死体―。
新人捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)が単身FBIから派遣されるが、慣れない雪山の厳しい条件により捜査は難航。
ジェーンは地元のベテランハンターで、遺体の第一発見者であるコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)に協力を求め、共に事件を追うが、そこには思いもよらなかった結末が・・・。

公式ホームページより引用
映画「ウインド・リバー」公式サイト 2018年7/27公開

監督

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監督は脚本家の「テイラー・シェリダン」

「ボーダーライン」「最後の追跡」など名作の脚本を担当した。
本作は「ボーダーライン」「最後の追跡」に続くテイラー・シェリダンのフロンティア三部作の最期の一作だ。

登場人物

コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)

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地元ハンター。野生生物局の職員として猛獣を狩ることを専門としている。

ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)

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FBIの捜査官。

ベン・ショーヨ(グラハム・グリーン)

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地元警察である部族警察の署長

感想

ウィンドリバー保留地というよりインディアン保留地が舞台のスリラー映画。-30度の極寒の中で何か追われた末凍死した少女。
地元ハンターとFBIが協力して事件の解明に迫る。広大な保留地に警官は6人という無法地帯でアメリカの闇を見ることができる。

ワイオミング州・ウィンド・リバー保留地

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ワイオミング州はロッキー山脈にあるた広大な州だが、総人口56万人とアメリカで最も人口の少ない州でもある。
日本の本州以上の面積に島根県以下の人口が住んでいる感じだ。
そんなワイオミング州の中でも最も不毛な土地にウィンドリバー保留地がある。

農業もままならない不毛の土地で産業はなく、わずかなが放牧がおこなわれている程度。
ロッキー山脈の中の盆地にあるため冬は極寒で気温は-30度にもなる厳しい気候だ。
そんな不毛な土地になぜ人が住んでいるのかといえば、インディアン絶滅政策によってネイティブアメリカンが強制移住させられた土地だからだ。
現在はもちろん絶滅政策は行われていないが、保留地に住んでいる限りはわずかながら年金が支給されるため住民は保留地を離れられないでいる。

保留地は州政府から独立した連邦管轄地域であるため警察機構は部族警察という地元警察のみ。警察官は広大な保留地で6人しかいないため、犯罪の捜査はほとんど不可能だ。
FBIが保留地を管轄しているが、殺人などの重大犯罪でなければ本格的な捜査は期待できない。

作中のセリフでもあるがウィンドリバー保留地は「凍った地獄」なのだ。

警察機構の機能していない無法地帯

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ジェレミー・レナー演じる主人公のコリーは放牧地で家畜を狙う猛獣を専門とするハンターだ。

犯罪の証拠がつかめない中、コリーはハンターとしてのカンを頼りに犯人の足取りを追う。その姿はまるで猛獣を追うハンターのようだった。
エリザベス・オルセン演じるジェーンがFBI捜査官として殺人事件である証拠を発見し、FBIからの応援を呼ぶことに専念する姿とは対照的に描かれている。
地元の部族警察も最初から犯人を捕まえられることを諦めている空気で、被害者家族も司法の裁きは期待していない。
警察機構が機能していない無法地帯で頼れるのは自分の力だけであることを見せつけられるのだ。

地獄のような環境で無法者に対抗するには自分たちで何とかするしかない。
そんな状況はさながら現代の西部劇のようだった。