GASMASK | ガスマスク

LIVE LIFE HARD.

インド・パキスタンとムスリム・ヒンドゥー教徒の対立をハードに描く「バジュランギおじさんと、小さな迷子」

f:id:GVSMASK:20190123224351j:plain

ネタバレ無し

「バジュランギおじさんと、小さな迷子」はインド歴代興業収入3位を記録した大ヒット映画。
インド公開は2015年だったが、4年の歳月を経てようやく日本公開された。

INDEX

定額映画配信サービスならAmazonプライムがおすすめ

あらすじ

パキスタンの小さな村に住む女の子シャヒーダー。幼い頃から声が出せない障害を持った彼女を心配したお母さんと一緒に、インドのイスラム寺院に願掛けに行くが、帰り道で一人インドに取り残されてしまう。
そんなシャヒーダーが出会ったのは、ヒンドゥー教のハヌマーン神の熱烈な信者のパワンだった。バカがつくぐらいの正直者で、お人好しなパワンは、これも、ハヌマーンの思し召しと、母親とはぐれたシャヒーダーを預かることにしたが、ある日、彼女がパキスタンのイスラム教徒と分かって驚愕する。
歴史、宗教、経済など様々な部分で激しく対立するインドとパキスタン。 それでもパスポートもビザもなしに、国境を越えてシャヒーダーを家に送り届けることを決意したパワンの旅が始まった。果たしてパワンは無事にシャヒーダーを母親の元へ送り届けることができるのか!?

公式ホームページより引用
バジュランギおじさんと、小さな迷子

監督:カビール・カーン

f:id:GVSMASK:20190123224355j:plain

本作の監督は「カビール・カーン」
数々の長編を監督し映画賞も多数受賞しているが日本公開されていない作品がほとんど。

カーンというムスリム系の名前の通り父親はムスリムだが、母親はヒンドゥー教徒という家庭に生まれた。
ムスリムとヒンドゥーの対立を描いた本作を監督したのもそんな生い立ち故かもしれない。

登場人物

パワン・クマール・チャトラヴェーディー/バジュランギ(サルマン・カーン)

f:id:GVSMASK:20190123224346j:plain

熱心なヒンドゥー教徒
まっすぐな心を持ち曲がったことが許せず困っている人がいたら必ず助けてしまう。

シャヒーダー/ムンニー(ハルシャーリー・マルホートラ)

f:id:GVSMASK:20190123224342j:plain

パキスタン人のムスリム
声が出せない障害を持っており、それを治す祈祷をするためにインドに行くが道中で親とはぐれてしまう。

感想

インドで迷子になったパキスタン人の女の子をガチムチのインド人のおじさんが助ける話。女の子は声が出ないという設定なので色々と空回るという展開が犬のおまわりさんっぽい。登場人物が全員人間の鑑なので童話レベルの優しさ溢れる感動ストーリー。
ストーリーの根幹をなす印パ間の国境紛争や宗教対立なども過酷で面白い。重いテーマにガッツリと正面から向き合いハートフルな物語にしたカビールカーン監督は偉大。

インド・パキスタンとムスリム・ヒンドゥー教徒の対立をハードに描く

f:id:GVSMASK:20190123224400j:plain

本作の大筋はインドで迷子になったパキスタン人ムスリムの女の子を敬虔なヒンドゥー教徒が助けるというストーリーだ。
女の子は声が出せないため最初はムスリムであることが分からないが、生活スタイルや食事などで徐々に生い立ちが分かっていく。

女の子がパキスタン人のムスリムであることが分かってからの周囲の態度の豹変は厳しく、差別といっていいほどの待遇に涙が出てしまう。
敬虔なヒンドゥー教徒である主人公は最初はムスリムを助けることはできないと嘆くが、持ち前の正義感を発揮し全てをなげうって女の子を助けることを決意する。
国籍や宗教は関係なく人を助けることの素晴らしさを説くメッセージ性の強い映画だ。

そんなハードなテーマを正面から描いている本作だが、インド映画らしく明るいノリで話が進んでいくため楽しく映画を観られる。
インド映画お約束の唐突なミュージカルシーンもあり、ハードなテーマを忘れて映像と音楽を楽しめる瞬間もありメリハリがあって最高。

個人的にはインド映画で最も好きな作品となった。