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自浄作用ゼロ企業を野村萬斎が切る「七つの会議」

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ネタバレ無し

「七つの会議」は池井戸潤原作の企業エンターテイメント映画

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あらすじ

都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)はどこの会社にもいる、所謂“ぐうたら社員”。
トップセールスマンである課長の坂戸(片岡愛之助)からはその怠惰ぶりを叱責されるが、ノルマも最低限しか果さず、定例の営業会議では傍観しているのみ。
絶対的な存在の営業部長・北川誠(香川照之)が進める結果主義の方針の元で部員が寝る間を惜しんで働く中、一人飄々と日々を送っていた。
ある日突然、社内で起こった坂戸のパワハラ騒動。 そして、下された異動処分。訴えた当事者は年上の部下、八角だった。 北川の信頼も厚いエース・坂戸に対するパワハラ委員会の不可解な裁定に揺れる社員たち。
そんな中、万年二番手に甘んじてきた原島(及川光博)が新課長として着任する。 会社の“顔”である一課で、成績を上げられずに場違いすら感じる原島。 誰しもが経験するサラリーマンとしての戦いと葛藤。 だが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた……。

公式ホームページより引用
映画『七つの会議』公式サイト

感想

自浄作用ゼロ企業の不祥事列伝を野村萬斎が切る映画。責任のなすりつけあいで部下のせいにするセリフばかりが飛び交い、不正のマトリョーシカみたいな役員達が秀逸。
会社でよく見る光景の連発でどこの会社も変わらないんだなと思った。どの企業で不正が起こってもおかしくないというリアルな恐怖を感じた。
役者陣が全員素晴らしい。年季の入った顔芸で全力の足の引っ張り合いを見せられると笑いがこみ上げてくるレベル。
誰が見ても面白いとは思うが、男性サラリーマン向けの映画。特に40代50代のベテランでないと価値観が理解できないと思う。

自浄作用ゼロ企業を野村萬斎が切る

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「私のせいではない」「部下が勝手にやったこと」「社長の私はむしろ被害者」
作中で飛び交う責任逃れの言葉だ。
数々の不正は不幸な事故ではなく起こるべくして起こった事件であることがこの言葉から容易に想像できる。
この作品は不正だけではなく、不正が行われる体質にフォーカスした映画なのだ。

責任の押し付け合い、足の引っ張り合い、上から降ってきたノルマはそんな手段を使ってでもこなす。
どの企業でも当たり前に行われていることに時間を割いて描写することで、東京建電はどこにである普通の会社であることが示されている。
視聴者が自分の勤める会社と似たものを感じることで、不正が起こる体質は決して特別なことではなくどの企業にもあることだということを深く感じることができるのだ。

「七つの会議」は数々の有名俳優が出演することも魅力だ。
ポスターに載っている俳優だけでなく、端役にも超有名俳優を起用している豪華作品。
特に小泉孝太郎と土屋太鳳の使い方はもったいないと思えるほど。

豪華俳優の安定した演技の中でも野村萬斎の存在感は際立っていた。
あえて狂言に寄せた非現実的な演技は冴えわたっていて、ベテラン俳優陣が全力の顔芸を繰り広げる最中でも全く見劣りしなかった。
野村萬斎が主演の映画は初めて観たが、今作の主演起用は英断だったと思う。